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Club 山咲 北新地のお店です。

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vol038  039  040  041  042  霧子の日々HEADLINE

霧子の日々@ 霧子の憂鬱

「霧子の憂鬱」

またやってしまった………………。
私の横には、裸で眠る男が無防備に、だらしなく口を開けて寝ている。
「頭痛っ……」頭の芯からリズムを小刻みに打つ鈍痛。いわゆる二日酔いと言うやつだ…………。
「つか……あんた誰?!」
私の記憶は午後10時で停止している。その後の記憶は飛び飛びで、横に寝ている男など、まるで記憶に無い。
記憶にあるのは行き先の店とマスターの顔、それと飲んでいたお酒の種類、それくらいだ。
私とこの裸で寝ている男の接点は、いつ、どうやってクロスしたのだろう………………。
考えるだけで二日酔いと同じで吐き気がする……………。
…………面倒くさい………………。
「この男が目覚める前に立ち去ろう…」
この男が目覚めても何も進歩は無いだろう。
霧子はその男の脱ぎ捨ててあった背広の内ポケットから、名刺入れを出すと、勤務先の会社と名前を確認した。
「まだまだこれからって感じね、こんなのに引っかかってちゃ霧子さんの名前が泣くわね……」
霧子はその男の名刺を戻すと、ベッドの下に散乱している服をかき集めた。
「とりあえず、今日の出来事はリセット」
霧子はいわゆる朝露の別れ的なセックスは恋愛回数にはカウントは入れないようにしている。
そんな事をしていたら指が何本あっても足らないからだ。
霧子はセックス三回で恋愛カウンターが動くシステムになっているらしい。
ただし男のランクによっては無理矢理にでもカウントを消費する事が稀にあるのが、霧子らしいと言えば霧子らしい。
セックス後の独特のけだるさに耐えながら霧子はカフェのカウンターでエスプレッソを飲んでいた。
このカフェのカウンターは霧子のお気に入りの一つである。
オフィス街の中心にあるガラス張りのカフェからは、あらゆるビジネスマンが往来するので霧子のマンウォッチング
には恰好の場所なのである。
今日も霧子は通りすがる男に点数をつけながらカウンターに頬杖をついている。
「顔はイケメン……でもあの髪の長さはビジネスマンじゃないわね、パス」
「会社訪問中の水商売の男……問題外」
「しょぼくれたサラリーマン……金持ってなさげ…パス」
男性も霧子如きに点数をつけられているなど微塵も思わないだろう。
もし霧子の心の声が聞こえたら、多分何人かは鬱病になるか霧子を殺したくなるだろう。
退屈な霧子。
霧子は今日も無機質な日を送るのであった。

霧子の日々A 霧子合コンへ行く

「霧子合コンに行くA」
今日の霧子は朝から上機嫌だ。 何故なら今日はエリートビジネスマン達との合コンの日だからだ。
「巻き髪よし、服装よし、下着に抜かり無し!!夕方まで自慢の巻き髪が持つか心配だけど……」
霧子は自分の巻き髪を指先でクルクル巻くと不安そうに鏡を見つめた。
「髪型は女をキメる武器の一つだもんね取りあえずコテとスプレー入れとくか」霧子は鞄にヘアーアイロンと
携帯用スプレーを入れると、何かを思い付いたようにクローゼットの引き出しを開けた。
「念には念を!!だわね、合コン中にいい男を見て下半身がジュンって来たらせっかくの勝負 パンツが台無しだもんね」
霧子は今履いている勝負パンツの中でも1・2を争う下着をチョイスすると可愛いポーチに詰め、それを鞄の隅に入れた。
合コンメンバーは男子6人女子6人。
霧子の他には、霧子にこの話を持ってきた同僚の赤城ケイコと藤村美由紀と高杉めぐみと後は別の会社ではあるが後
2名別会社のOLが参加する事になっている。
合コン相手の男性もメンバーリストを見ると、どれもハズレは無く問題は『外見』のみとなっている。
霧子は昔から恐ろしく面食いで、その理由は美形のDNAの確保、不細工と美形では必ず美形が遺伝上優勢になると信じて
疑わない女だ。
付け加えて言うと、彼女は知能の高さも遺伝上優勢になると信じている事を付け加えておこう。

★☆★☆★☆★☆★
今日の合コンの場所は霧子達のオフィスから、すぐ近くのイタリアンのレストランで開かれる。
合コンの戦いはオフィス終了後のパウダールームから始まる。
朝から化粧をしたままの、毛穴開きっぱなしの肌をいかにきめ細やかに見せるかから始まる。
例にもれず、霧子はパウダールームで鏡とにらめっこをしていた。
ドレッサーの隅にあるコンセントにはヘアーアイロンが既に温められていて、時間とともにボリュームが落ちた巻き髪の
復活アイテムとしてスタンバイしている。
霧子と合コンに行く仲間達はパウダールームで仲良く談笑しながらも、お互いをチェックする事を忘れない。
こういう時の女の「見る目」は厳しくも残酷なものだ。
例えば女性の着ている服が似合わないと内心思っていても、「やーん、それ可愛い♪」と誉め讃え「○○ちゃんにピッタリ〜★」
と言う。が、それは決して本心で無い事が多い。
通訳するならこうだ「うへぇーなんてダサい服着てんだよ」
「そんなん着れるのお前位のもんだよ、このダサ女」となる。
無駄に「可愛い」を連発する女には気をつけた方がいい。
パウダールームの熾烈な戦いを越えると合コンの女戦士達は勝負パンツと言う防具に身を包み、前線地に向かう事になるのだ。

霧子の日々B 霧子合コンへ行く

「霧子の日々B〜霧子のライバル紅子現るの巻」

イタリアンレストランに到着した霧子達は、既に到着していた別会社の女性に気がつくと頭を下げながら足早にテーブルへ向かった。
「すみませーん遅くなりましたー」
「いえ、私達が早く来すぎちゃったんですよぅ」
ん…………この語尾………この声に、私は聞き覚えがある。
『私の記憶が正しいなら、その声の持ち主は霧子的人生の中の最悪なる存在であり最強のライバル………【早食いの紅子】近藤紅子
に違いない。』霧子はゆっくり顔をあげながら、声の主を見つめた。
「べっ!紅子!」
「あらん雑食のキリーこと桂霧子さんじゃない」
霧子は一瞬、紅子を罵倒しそうななったが、場所とシチュエーションを考えて霧子は唇をキュッと噛み締めた。
この紅子と霧子は幼い頃からのライバルで、彼女達の母親の代からいがみ合って来た仲で、このまま行くと将来は霧子達は親子三代で
ライバル関係が続く予想が出来る位に仲が悪いのだ。
「まさか霧子アナタが来るなんて思わなかったわよ、ま……アナタが来るなんて聞いていたらわたくし参加はしませんでしたけど」
「ああそう、じゃあ今すぐにでもお帰りなさいな、すいませーんお店の方、お一人様お帰りですって!!」
霧子は紅子の挑発をまるで無視するどころか、更に挑発返しをすると言う大技に出た。
「もう!アナタは昔から性格がねじ曲がっているわね!」
「あらあら紅子さん程じゃなくてよ」
「もう!二人とも止めなさいよ…他のお客様が見ているわ、それにもうすぐ合コン相手がやってくる時間じゃない?」
霧子の同僚の赤城ケイ子が二人を宥めるように割り込んで来た。
「近藤さんも桂さんも落ち着いて!」
この赤城ケイ子は常に冷静沈着ながらなかなかの世話好きである。
合コンで暴走列車と化す霧子を止めれるのは彼女しかいないので、合コン仲間からは『猛獣使い』と呼ばれる事も少なくない。
「近藤さんと仲が悪かったなんて知らなかったのよ」
赤城ケイ子が手を合わせ謝るものだから霧子もそれ以上に事を荒立てたくないとばかりに頭を大きく頷かせた。
午後6時イタリアンレストラン『ルナロッソ』のドアが大きく開く。
そして女達の戦いが始まろうとしていた。

霧子の日々C 霧子合コンへ行く

「霧子の日々C〜昨日の敵は今日も敵……だから気を緩めるとバッサリ斬られるの巻き」
合コンの相手と思われる男性陣が、霧子達の待つテーブルの方向を見つめながら目配せをしている。
今回のリーダーの赤城ケイ子が、それに気がつくと右手をヒラヒラと振りながら、男性陣を手招いた。
『ちょ…ちょっと、予想よりも随分とイイ男揃いじゃないの!!』
霧子は心の中で呟やいた。
勿論、霧子だけではなく此処にいる女性陣は皆、霧子と同じ事を思ったに違いない。
その証拠に女性達は皆、指先で髪を整え直したり、洋服の乱れを直す者もいれば、着ていたドレスの胸の谷間を
強調させるように座り直す者もいた。
男性陣のリーダーである、坂本辰雄は爽やかな笑顔と共に女性陣に挨拶をすると今回の合コンに参加する男性メンバー
を紹介を始めた。
男性 達は各々、挨拶をすると同時に各自の名刺を渡した。
霧子にとって男の名刺はランク付けをつる為には欠かせないアイテムだ。
霧子は男性陣から貰った名刺を五枚テーブルの上に並べると即座にチェックを開始した。
「これだけ沢山だと名前覚えられないですねぇ」
紅子は霧子と同じくテーブルに名刺を並べたが、合コン慣れしているように思われないように言葉を添える。
「いや…僕らもそうですよ、女性の名前を一度に覚えろって言われても、難しいですよ」
「あの…私今日の為に名刺を作ってみたんですよぅ…良かったら貰って下さい」
紅子は鞄から小さなポーチを出すと自分の名刺を出した。
紅子が名刺を名刺入れから出さなかったのは合コン慣れしてないように見せる作戦だった。
霧子はそんな紅子を横目でチラリと見ながら『どうせ、そんなやり方でひっかからないわよ…』と鼻で笑った。
「へえ…可愛いですね、もしかして合コン初めてとか?」
『嘘!引っかかってるじゃないのコレ!』
霧子は目をパチクリしながら紅子と紅子のターゲットらしき男を見た。
紅子はうつむきながらも照れた風に笑い、
「初めてと言ったら嘘になりますけど、私、人数足らなくて呼ばれたんですよ…」
『おい!紅子さん、アンタは女優賞穫れるよ!そうじゃなかったら詐欺師の素質あるから!……やっぱり私は、
この子が嫌いだ…昔から男の前だけ性格がゴロッと変わる、リトマス試験紙のような女が……大嫌いだ、』
「ちょっと霧ちゃん、ボーっとしてないで男性とお話しないと…」
世話役の赤城ケイコが霧子に耳打ちする。
『しまったーっ!出遅れたーっ桂霧子、一生の不覚』
ライバル紅子に先を越された霧子は体制を整えるように冷たいペリエを飲み干すと、もう一度貰った名刺を見つめると、
ターゲットを絞った。

霧子の日々D 霧子合コンへ行く

「霧子合コンへ行くD」

霧子は他の女性よりも、遅れを取っている事に気がつくと、男性陣をぐるりと見回した。
「あちゃーヤバいわね、紅子に気を取られていて遅れを取ったわ」
そんな霧子の背後から1人の男性が声を掛けてきた。
「桂霧子さんですよね、俺坂本辰雄といいます、赤城君からは君の話はいつも聞いていますよ。」
坂本は霧子に名刺を渡すとにこやかな笑顔を投げかけた。
これには霧子もまんざらではない様子で満面の笑みで答えた。
『キターッ!大本命貿易会社の御曹司、坂本辰雄じゃない、しかも赤城ケイ子からの紹介済みなんて、
なんてラッキーなの霧子!』
霧子は内心から湧き上がる感情を抑えながらも坂本にアプローチをかける。
坂本は霧子の話を目を細めながら興味深く頷きながら話を聞き入っている。
「霧子さんはやっぱり楽しい方ですね、今度またゆっくり話をしたいものだね」
『好感触じゃん!』
霧子はこの時他の男性にアプローチをすることを止め坂本一本釣りを決めた。
霧子は自分の名刺に携帯番号とメールアドレスを丁寧に書きと坂本に手渡した。
【霧子的名刺の渡し方その1
名刺には携帯番号とメールアドレスは印刷はしない。
貴方だけよ感を出す為だ、最初から印刷されていると誰にでも教えています感が出ているので好感触が
期待されるからだ。】
さらに霧子は小さな鞄から手帳を出すと1人で撮ったプリクラを名刺に貼り、今日の日付を書いた。
【霧子的名刺の渡し方その2
名刺だけだと暫くは覚えているものだが坂本のようにモテるタイプは出会いが多い為、印象が無いと忘れ去
られる可能性が高いのでプリクラのような写真を貼り日付を書いておけば何日か経った後に、ふと名刺を見た
時思い出してくれる可能性があるからだ。】
「へえ霧子さんってこまめなんだな。ありがとう、俺、絶対近い内に霧子さんを個人的にお食事に誘いますから」
坂本は霧子の名刺を自分の名刺入れに入れると再びにこやかに微笑んだ。
『好感触!!坂本ゲーッツ!』
胸の奥で霧子が下品に叫ぶ。
ライバルの紅子が既に男性と抜けがけで店を出ていった事も霧子にはOUt Of 眼中だった。

 

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